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コラム
2.142019
「不定愁訴」をご存知ですか?
お話を医学用語から入ります。
「malaise」・・・不快感、病気の前兆などとして現れるもの。(無力感を引き起こす)不安、不満、沈滞。(特定の病気ではなく)何となく気分がすぐれないこと、不快(感)、不調、活気のない状態。
「Medically Unexplained Symptom(MUS)」・・・医学的に説明できない身体の症状のこと。
この2つを包括的に併せ持った意味の日本語が「不定愁訴」です。
「不定愁訴」とは
「不定愁訴」とはこれだと決まっていない、一定しない症状の苦しみ・悲しみなどを嘆いて訴えること。
「頭が重い」、「イライラする」、「疲労感が取れない」、「よく眠れない」などの何となく体調が悪い、という自覚症状を訴えて、医師に診てもらい、検査をしても、原因となる病気が見つからない状態を指します。
患者からの訴えは強いものの、主観的で多岐にわたり、客観的所見に乏しいのが特徴。
症状が安定しないため治療も難しく、周囲の理解も得られにくいことが多い症状です。
何となく調子が悪い、だるい、イライラするなど、自身の身体に感じる違和感や不快感は、誰にでも多少の心当たりがありますが、そのつらさは本人だけが感じる自覚症状で他人には理解してもらえないものでしょう。
にもかかわらず、それを口に出して周囲にしきりと訴えることを、医学用語で「愁訴」(しゅうそ)といいます。
なかには、本人の訴える自覚症状がコロコロと変わったり、何種類もの身体的不調を同時に脈絡もなく訴えたりすることがあることから、このような状態を特に「不定愁訴」と呼びます。
実際に医師から告げられたり、自分で検索して調べたりしない限り、意外と知られていない言葉だと思います。
「不定愁訴」は、特定の病気を指す用語ではなく、医療機関で十分な診察や検査を受けても、本人が強く訴えるような痛みやだるさなどの身体症状の原因が見つからず、明確な診断がつかないのが特徴でもあります。
「不定愁訴」は、何となく体調が芳しくないという程度の漠然とした症状から始まり、以下のような多岐にわたる身体症状を自覚します。
倦怠(けんたい)感や動悸(どうき)、皮膚のかゆみなどの全身症状、耳鳴りや味覚異常などの感覚器の違和感、食欲不振、便秘、下痢、肩こりや手足のしびれ、冷えにひん尿、血尿、月経不順/息切れ、めまい、頭痛、不眠など実にさまざまです。
本人のライフスタイルの問題や環境変化、精神的なストレスなど、さまざまな要因が絡み合って引き起こされると考えられ、最近では自律神経失調症や軽度のメンタルヘルス不調と診断されることもあります。
また、他の病気の初期症状の表れである可能性もあると言われているのが「不定愁訴」で決して侮れません。
さらに、ホルモンバランスの乱れから、更年期の女性の60~70%は、「不定愁訴」の症状が現れると言われています。
いずれにせよ、本人からすれば、さまざまな症状に悩まされていることは確かであり、つらいからこそ、周囲に訴えずにはいられないのでしょう。
にもかかわらず、原因がはっきりしないために、また周囲への訴えが時に強すぎるために、職場などでは「適当にわがままを言っているだけ」と誤解されやすく、適切な対応がとられないケースも見受けられます。
周囲の理解不足が、背景に潜むメンタル不調をさらに悪化させる可能性もあるので、注意が必要です。
不定愁訴への対応
医師に受診し、「不定愁訴」であることを明らかにした上で症状を軽くする対症療法を行うのもひとつですが、自らで日常生活の見直しを心がけることも一方の解決法でしょう。
3回の食事はバランスよく摂るようにし、食べすぎや欠食は避けましょう。
また、運動をすると睡眠もきちんととれるようになります。
特にウォーキングや水泳などの有酸素運動が有効でしょう。
機会があれば、体内の有毒物や老廃物を除去(解毒)するデトックスを試みるのも良いかもしれません。
とにかく、あなたに合った気分転換法などを見つけておくことが重要です。