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コラム
6.132019
なぜ水分補給は必要?
人はなぜ水が必要か?
人の体の約60%を占める水は、体を構成する最大の要素です。
体内の水分は、「体液」と総称され、細胞内液と細胞外液(血漿、間質液)に大きく分けられます。
体内の水分「体液」は、栄養素や酸素を運搬し、老廃物を排泄し、細胞内外の浸透圧やpH値の維持、体温の調節などを担ってくれています。
だから、人には「水」が必要なのです。
体内での水の役割
・細胞
細胞の中には、生命活動を行う「原形質」と呼ばれる物質があります。原形質は、タンパク質、脂質、糖質などが、無機塩類とともに水に溶けた状態です。
原形質では、さまざまな酵素反応が行われていますが、水は酵素が活性を持つために不可欠です。
・消化管
食べた物を吸収してエネルギーに換えるため、食べ物を分解して小さな分子にする「加水分解反応」が行われるのが消化管です。
加水分解反応には、水が必要です。
また、分解された成分は水に溶けて、吸収、運搬、排泄されます。
・腎臓
腎臓の機能は、血液をろ過して尿をつくり、体内の老廃物を体外へ出すことです。
水は、老廃物を排泄するための溶媒としての役割を担っています。
老廃物を十分に出し切るためには、1日あたり最低400〜500mLの排尿が必要です。
・脳、筋肉、心臓、血管
水は、脳や筋肉、心臓などが適切に機能するために重要です。
体液には、電解質(イオン)が溶けています。
カルシウムイオンやマグネシウムイオンといった電解質が細胞内外を行き来すると、脳では神経伝達が、骨格筋や心筋では収縮や弛緩が起こります。
血管の平滑筋は、収縮と弛緩をくり返すことで血圧をコントロールしています。
・関節
骨と骨が接する部分は「関節軟骨」と呼ばれる組織で覆われています。
水は、関節軟骨の70〜80%を占める主要な構成要素です。
1日にどのくらい水を飲んだらよいか
1日に必要な水分量は、その人によって異なります。
例えば、座っている時間の長い人では2.3~2.5L、立ち仕事が多い人や習慣的にスポーツを行う人などでは3.3~3.5L程度と推定されています。
年齢や性別、身体活動レベルが人それぞれなので、科学的に水分必要量を決めることは、現時点では実は困難です。
日本では、厚生労働省と農林水産省が共同で策定した「食事バランスガイド」でも、水やお茶を体に欠かせないものと位置付けるに留まっています。
ただし、脱水による熱中症や脳梗塞、心筋梗塞等の病気を予防するために、厚生労働省では、現状よりコップ2杯分余分に飲むことを推奨しています。
喉の渇きは、体からのサイン
喉の渇きは、細胞外液の状態と密接に関わっています。
細胞外液は、細胞の大きさを一定に保つために、その浸透圧が常に一定でなければなりません。
私たちの体には、体に水分が不足して細胞外液の浸透圧が上がると、喉の渇きを覚えるしくみが備わっています。
喉の渇きを受けて水分補給をすることで、体に不足した水分を補うためです。
特に、水分の不足が著しく、腎臓が尿を濃縮する機能だけでは体液の調節が間に合わないとき、このしくみは大変重要です。
つまり・・・
・水は、細胞から各臓器まで、さまざまなレベルで重要な役割を担っている
・ 脱水が起こると、脳機能の低下や心拍数の増加など各器官に支障がでる
・いつも通りの生活を送るために、適切な水分補給は必要不可欠
・・・ということ
特に、これからの季節、意識して水分を摂るようにしましょう。