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コラム
7.192018
続・セルフブランディングの時代が来た!
先週に引き続き、セルフブランディングの話です。
英国のブランドコンサルタントの専門会社、ブランド・ファイナンス社は、たいへんユニークなサービスを世界中に向けて発信しています。
毎年、英国の王室が自国経済にもたらす商業的価値を推計、金額を世間に公表しているのです。
その報告書には、王室所有の有形資産だけでなく、「王室のブランド」が同国にもたらす経済的影響力(利益)も割り出されています。
報告書によると英国経済に大きな経済効果をもたらすのは、王室の所有する有形資産ではなく、そのブランド価値です。
王室が英国の観光業やビジネス、ファッションその他の分野にもたらす経済的利益は、およそ550億ドル(413億ポンド)に上ると見積もられています。
これは、恐るべき数字です!
ブランド・ファイナンスの最高経営責任者(CEO)はロイター通信の取材に対し、「王室は英国の大規模なPRキャンペーンを行う組織のようなもの」だと説明しています。
なかなか、世界でも最も古い歴史を誇る、わが国の皇室に対してもこのような経済的効果、捉え方を耳にした事はありません。
たしかに、マスコミで人気のキャサリン妃が選び、自らそのブランドを身に付けることによるファッション界への経済的貢献もそれなりのものでしょう。
しかし、英国王室の真のブランド価値は、長い歴史をかけて、自国民に(他国にも)対し、権威と信頼と親しみ易さ、常に華やかなイメージを醸成させ続けてきた、目に見えないプロセスにあるのではないでしょうか。
一般に「そもそも、ブランドとは何か?」という問いかけに、それを氷山に例えて説明する方法があります。
ジェームズ・キャメロン監督の「タイタニック」(1997年公開の映画)をご覧になった方も多いかと思います。
豪華客船タイタニックが処女航海の途中で、氷山に激突して沈没した実際の出来事(1912年)をモチーフにして作られた作品です。
氷山の大部分は海中にあり、海上に表れている部分は、全体の僅かです。
明るみに出ているのは大きな物事のほんの一部にすぎないという意味の例えを「氷山の一角」と言います。
価値の高いブランドほど、一般の人には気がつかず目に見えない氷山の水面下の部分、
「歴史、文化活動、こだわり、哲学、積み重ねた知見、啓蒙活動、内面的なカッコ良さ、他人に対する優しさ、ケア…etc」
を豊富に持っています。
昨今SNSの普及により、個人がメディアを手に入れ、不特定多数の人たちに自分の活動やオピニオンを伝えることが可能となりました。
しかし、「セルフブランディング」という観点から見ると、SNS投稿の安易さは諸刃の刃(やいば)とも言えます。
Facebookにせよ、Twitterにせよ、所詮は本来自分という氷山の水面上、目に見える表層の部分しか語れないし、受け手にも理解してもらえないメディアだという、ある種の割りきりが必要です。
逆に、これらSNSで水面下を語り過ぎると、受け手にとっては重過ぎて、引いてしまう傾向にあります。
立席の社交パーティの場で、余りにも複雑で深いプライベートな話題を持ち出されても、困ってしまうのと同じ事です。
TVCMの手法として、氷山の水面下の部分を具体性を持たない、さりげないイメージで伝え、ブランドをアピールするやり方もあります。
しかし、思想・哲学・こだわり・積み重ねた知見と奥の深さは、それが本物であればある程、クチコミ等を通じて、じわじわ確実に世間に伝わるものです。
基本的に「セルフブランディング」は、地道に自分の内なる氷山の水面下を充実させる事に時間をかけるのが、「急がば回れ」の最良の方法なのです。
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