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コラム
6.42018
イチロー選手に見るセルフ・リーダーシップ
【あの場面の振り返り】
伝説として語り継がれるであろう、2009年のWBC第2回大会の決勝、日韓戦。
あの試合9回裏、抑えのダルビッシュが、韓国打線に打たれ、3-3でゲームは振り出しに。
10回表。二死2塁3塁の場面で、それまで打撃絶不調だったイチローが打席に。
大歓声とブーイングが同時一斉に浴びせられた大観衆のドジャースタジアム。その中で、イチローの集中力は最大限に高められる。
カウント1―1から、天才打者のスイッチが入る。厳しいコースに反応し続け、ファウルを連発。8球目、相手の投手がしびれを切らして投じた136キロの変化球が甘く来た。逆らわずにセンターへ。打球は芝生の上に弾む。
勝ち越しの2点適時打となり、5-3で韓国を下し、侍ジャパンの連続優勝が決まった。
【この場面までのエピソード】
●この大会でイチロー選手は、かって無かった打撃絶不調に襲われていた。12打席連続無安打が続いたとき、心が折れそうになった。ダグアウトに帰るとき、流石の彼も指揮官の原監督と目が合わせられなかったという。
●メディアも連日、イチローを叩く報道が相次いだ。しかし、チームの誰ひとりとして彼を外すという選択肢は浮かばなかったという。それは、イチローがどんなときでも変わらない姿勢を貫いたから。自分が打てなくても、どれだけ叩かれても、チームのなかで一番声を出し、だれよりも練習に一番早くに来て、試合に向けた準備を継続した。
●ベンチ内では、さすがに「イチローはどうしたのだろう?」と小声話しは聞かれた。
しかし、原監督はブレなかった。心中してもいいくらいの心積もりだった。
「そのうち打つよ。そういう男だよ。」原監督はいつもそう言ってた。
●彼がドン底で苦しむ姿を見て、控えの選手だった亀井は無言のエールを送るため立ち上がった。
内川、片岡、川崎に声をかえ、イチロースタイルでストッキングをあげて履いた。最年長の稲葉もこれに合わせた。
●苦しみ、もがきながらも自分を見失わず、チームを鼓舞するイチローの姿を見て、若手選手を中心に、「自分達が出来ることに全力を尽くさなければ!」とチームがまとまった。
【イチロー選手に学ぶリーダーシップ】
この試合から数日後、イチロー選手は、TV記者のインタビューを受け、「神が降りた」というあの場面も含め、WBC大会を振り返り、様々な胸の内を明かしています。そして「リーダーシップ」についても言及しています。
「よくチームにはリーダーが必要だとか、安易な発想があるけど、今回のチーム(日本代表)に全くそんなものは必要なかった。それぞれが、向上心を持って何かを得ようとする気持ちがあれば、そういった形はまったくいらない。むしろ、ない方がいい。」
ここで、イチロー選手は、「リーダーは必要なかった」(自分は特にリーダーシップをとらなかった)と発言してますが、正に彼の内側から発する「リーダーシップ」がチームに無形の影響を与え、WBC連覇に繋がったと言えるでしょう。
2009年の原監督が率いたイチローを中心としたWBC日本代表メンバー達は、これからの時代、インサイドアウトの「セルフリーダーシップ』型組織として絶好の生きた教科書になる筈です。
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