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コラム
4.92018
日本学のすすめ
失われた20年で、日本の国際的プレゼンスは著しく低下しました。
しかしこの間、皮肉な事ですが、海外における「日本文化への関心度」は急上昇しました。
時に我々は、外国人からの日本映画、漫画、アニメ、温泉、和食…への高い評価を通じて、自国文化の素晴らしさを再認識させられる事があります。
日本を訪れた外国人観光客は、我々が普段、自国にて恩恵を受けても当然と感じている風景、食べ物の味、接客、清潔さ、マナーの良さを称賛します。
一方で、中国人も韓国人も欧米人も一様に彼らの母国のお国自慢が大好きです。
彼らを見てると、一般的日本人が如何に自国に対して過少評価し、誇りを持てていないかを肌で感じます。
長年、欧米の会社と取引をしていてわかる事は、彼らはビジネスの交渉事になると日本人を与しやすい、押し込み易い相手と見る傾向があります。
彼らとの折衝面で大切な事は、日頃から自分が日本人としてのプライドをしっかりと保っているかどうかが重要です。
何処の国のビジネスパーソンも、母国に対して強いプライドを持っている人間に対し、一目置き、敬意を払うのは当然な事です。
一般的にも日本人は国際的に交渉力が弱いと言われています。
そのあたりの要因として良く言われるような英語力、論理的な思考力、ディベートに不慣れ…等々は、本質的な問題とは違う少し気がします。
交渉の当事者が自国の文化、歴史、精神的風土にプライドを持っているか否かが、折衝面を大きく左右すると言っても過言ではないでしょう。
要は、何処の国・地域の〇〇家に生まれ、何を学び、どのように育ち、どんな人達と関わり合いを持ったかが、その人のIDです。
お互い固有のIDを尊重し合う事、人間関係の基本で、これが外国とのビジネスでは、(政治外交も同様ですが) シンプルですが、不可欠な要素なのです。
少し話は変わりますが、「日本学」という日本研究の学問があります。
欧米諸国が、日清・日露戦争から第二次世界大戦にかけて、日本の軍事的脅威が高まった当時や、その後の敗戦から奇跡的に復興し、経済大国になった当時に歴史、文明、文化、様々な角度から日本を分析する彼らの必要から生まれた学問です。
もともとは欧米諸国が、日本を彼らのライバルと見立てた上で成立した学問ですが、最近、我が国の大学や研究機関がこの「日本学」を正規に逆輸入で取り入れ始めています。
「日本の歴史、立場を世界がどう見ているかを踏まえて、発信し、ディベートできる」
「対象としての日本を、時に自己として、
時に他者として客観的に研究する視点を持つ」
「リベラルな国際人として、日本の魅力を自分の言葉で、海外に発信できる」
そのような人材を育てることを目的にした学問が「日本学」です。
以前、何かのTVCMで『ニッポン人には日本が足りない』というコピーがありました。
「日本学」は一部の大学だけではなく、グローバル化に直面している我々ビジネスパーソンも勉強する必要がありそうです。
(次回へ続く)