コラム

脳内コラボレーションの活用法

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ocean

 

海馬(かいば)という名前の脳内器官をご存じの方は多いと思います。

 

海馬はとても小さなタツノオトシゴのような形をしていますが、その役割はきわめて重要です。

 

一昔前の脳科学では「脳細胞は加齢とともに毎日、おびただしい数が死滅して、けっして増えることなどない。」というのが常識でした。

しかし、現在では「少なくとも海馬だけは、年を取っても、鍛え方しだいで細胞分裂を繰り返しその結果、増える」ということが解明されています。

海馬は大脳に入った情報の取捨選択をして、記憶全体をつかさどるという、生命活動にとってとても大切な役目を担っています。

 

そして、人間の記憶活動において、海馬と協力連携しているのが、実はあまり知られていない扁桃体(へんとうたい)という器官です。

位置的にも、海馬と扁桃体は隣り合った場所にあり、太いパイプ(神経細胞)で結びついています。

扁桃体は人の喜怒哀楽や好き嫌いの感情をつかさどっていることで知られます。五感を通して大脳皮質に伝わった情報は、海馬だけでなく扁桃体にも伝わり、その内容によって大小さまざまな感情を引き起こします。

 

海馬が記憶という知性に関係の深い精神作用に関係するのに対して、扁桃体は情緒面に深くかかわっているといえるでしょう。

 

知性と情緒。

ある意味では対照的な役割を、海馬と扁桃体はお互いコラボレーションしながら、五感を通じてインプットされた情報を管理、保存しているのです。

 

海馬の隣にある扁桃体は、好き嫌いや、それが快感なのか、不快なのかをの海馬に伝えます。そのため、心を大きく揺さぶるような出来事は、いつまでも記憶にとどめられています。

また、奇妙な出来事とか、非日常的な経験もなかなか忘れません。これは、情動をつかさどっている扁桃体が海馬と連携し合い、記憶に影響を与えていると考えられます。

自分が大好きな学校の先生の授業内容はを妙に憶えていたり、旅先でたった一度、見た光景が脳裏に焼きついているのは、誰もが経験したことがあるでしょう。

俳優が長いセリフを憶えられのは、暗記するという意識ではなく、自分の役柄に感情移入することで、自然と扁桃体を上手く活用している結果なのです。

 

さて次回このコラムでは、皆さんの学習や日々のパフォーマンスに役立つ、具体的な海馬と扁桃体のコラボレーション活用法をお話ししたいと思います。

 

(次回に続く)

 

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