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コラム
6.282018
分散力
スポーツをする時も、勉強する時も、子供の頃から私たちは常に「集中する」ことを求められてきました。
良くいわれる「ゾーンに入った状態」とは脳波において、α波が支配した状態。
逆に「意識が分散した状態」とはβ波が優勢な状態と言われています。
一般で市販されている脳波測定機を用いて、トップアスリートの脳波の状態をデータ化してみると、彼らの殆どが一般人に比べ、α波(集中状態)を得るのが早く、α波の持続時間が長い傾向にあります。
一方で、その飛び抜けた集中力の高さから、普通には気がつかない微妙なフィジカルや技術面での変化に意識を集中し過ぎ、極端なスランプにおちいり、最悪の場合は引退に追い込まれてしまうアスリートも多くいます。
彼らの持ち前の集中力がネガティブな面に向いてしまう危険性も表裏一体で潜んでいるのです。
要は、長い選手生活も、人生にも「集中力と分散力」のバランスが必要だということです。
特に多様で複雑な条件下で、行動を強いられることの多い、私たち現代人には、集中力と分散力の交互の使い分けが大切です。
分散力とは聞きなれない言葉かも知れません。
分散力をシンプルに表現すると、「目の前の課題や標的に集中するだけではなく、周囲の事象にも意識を向けながら、自分を取り巻くトータルの状況を把握できる」能力と言えます。
「なぜ多くの経営者が一般の社員よりもメンタルがタフで打たれ強いか?」と言うと、彼らは経営と組織の様々な問題に対して、課題と悩みが単一でなく、複合して抱えているからとも言えます。
ヒトにとって、悩みは単一化するほど深くなり、複数に分散すれば、ストレスの度合いは軽くなります。
啓発本、セミナー等で長く伝承されている積極思考(ポジティブシンキング)という考え方があります。
「なんでも前向きに物事を考えればそれは実現し、人生はうまくいく」という考え方です。
このコラム「アタマがだいじ。カラダもだいじ。」では、ポジティブシンキングとネガティブシンキングの併用をお勧めします。
脳にとって一番のストレスは、好ましくない想定外の出来事を体験することです。
同じような出来事でも、それが予期できるかどうかでそこから受けるストレスは大きく変わります。
ポジティブな事も、ネガティブな事も「ここまでは起こり得るかもしれない」ということを分散し、予測しておけば、うまくいった場合も舞い上がらず、突然の危機にも対処しやすくなりますし、脳へのストレスも溜まりにくくなります。
自然界においても、獲物を狙う動物が、背後から忍び寄る外的に対しても、意識を向けるのは当然の事です。
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